【追悼】歴代3位となる記録保持者・門田博光の野球人生を振り返る

通算567本のホームランを放った「不惑の大砲」こと門田博光さん。通算の本塁打数、打点数はNPBでも歴代3位、正しくレジェンド的存在です。

今回は門田博光さんの野球人生を振り返りますよ。

門田博光の経歴

社会人野球チーム「クラレ岡山」で活躍

天理高校で4番、センターとして活躍した門田博光さん。甲子園にも出場しましたが、一方で高校三年間、一本も本塁打を打てなかったそうです。

その後、社会人野球チーム「クラレ岡山硬式野球部」に進むと、都市対抗野球大会に4年連続で出場しました。1968年にはドラフトで阪急ブレーブスから12位指名を受けるも、当時のクラレ岡山のチーム事情や、下位指名だったことを理由にこれを拒否。翌1969年のドラフトで南海ホークスから2位指名を受け、プロの世界へ進むこととなります。

1971年、プロ入り二年目で打点王やベストナインを獲得

プロ一年目となった1970年は、開幕から2番、ライトで起用され、スタメン53試合を含む79試合に出場しました。

翌年から本格的にレギュラー定着、主に3番打者として打率.300、本塁打31本、打点120という素晴らしい成績で打点王、ベストナインを獲得しました。また、守備面では強肩を活かして15捕殺を記録しましたよ。

野村監督時代に打率3割5回

野村克也さんが監督を務めた1971年から1977年の間、主に3番を務めていた門田博光さんはハイアベレージでチームを支えました。1974年に打率.269、1975年に打率.280、残り五年間全てで3割を超える高打率を記録しました。1973年にはリーグ5位の打率.310を記録、同年のリーグ優勝に大きく貢献しましたよ。

1978年には4番打者を務め、1000gにもなる重いバットを使い始めたものの、初年度は打率.250、本塁打も15本と低調な成績に終わりました。

1979年、アキレス腱断裂

1979年の春季キャンプ中に、準備運動のジャンプの着地の際に右足のアキレス腱断裂の大怪我を負います。疲労の蓄積やグラウンドコンディションなどの要因が重なった結果の怪我のようです。

当時は現役復帰さえ危ぶまれるほどの危険な怪我でしたが、門田博光さんは同年9月、約半年で競技復帰。代打起用などもありながら、19試合に出場し63打席に立ちました。

怪我をきっかけに本塁打王として覚醒

本塁打に関しては長らくプロ二年目の31本がキャリアハイで、以降はシーズン30本にも乗せていなかった門田博光さん。元々本塁打へのこだわりは強かったものの、1980年以降は「ホームランを打てば足に負担はかからない」からと、全打席ホームランを狙う長打狙いのバッティングに徹しました。

結果、1980年には41本塁打でカムバック賞を受賞、1981年には44本塁打で自身初の本塁打王を獲得しました。打率に関しては1980年に.292、1981年に至っては.313と門田博光さんの全キャリアの中でも上位の数字を残しており、打率と長打を両立していたこともポイントです。1981年には最高出塁率のタイトル、指名打者として初のベストナインも獲得していますよ。

1988年、NPB最年長記録を数々更新した「不惑の大砲」

1982年以降、2割後半の打率を維持しつつ本塁打を量産して大きな離脱なく活躍を続け、1987年には通算2000本安打も達成した門田博光さん。

40歳で迎えた1988年には打率.311、本塁打44本、打点125で本塁打王と打点王の2冠を達成、同年のMVPに選出されました。40代での40本、100打点は史上初の偉業であり、40歳でのMVP選出はプロ野球史上最年長記録となっています。四球、敬遠数、出塁率もいずれもリーグトップで、40歳ながら最も相手に恐れられる打者でもあったのですね。また、この年はシーズン130試合全てに出場、全試合出場は門田博光さんのキャリアでこの年のみでした。

1989年、オリックス・ブレーブスに移籍

1988年限りで南海ホークスがダイエーに買収され、福岡へ本拠地移転に。子供や、球場コンディションのために関西へ残ることを望んだ門田博光さんは、三選手とのトレードでオリックス・ブレーブスに移籍しました。40歳を超えて迎えた2シーズンでも、いずれも30本塁打を記録する活躍を見せました。

1992年、ホークスで引退

子供の進学など家庭環境の変化があり、1991年にオリックスを自由契約となる形で福岡ダイエーホークスに復帰、愛着のある古巣で二年間プレーして現役生活を終えました。

1991年シーズンには112試合に出場し18本塁打と二桁ホームランを記録、43歳としては驚異の記録を残しました。最終シーズンとなった1993年も65試合に出場、7本のホームランを放ちましたよ。

引退後は野球解説や評論家として活躍

引退後、門田博光さんは10年以上にわたって朝日放送の野球解説を務め、評論家としての活動もしました。ダイエー、オリックスからコーチ就任要請を受けたという情報もありましたが、生涯通して門田博光さんがプロ球団のコーチを務めることはありませんでした。

最後に

今回は門田博光さんの野球人生を振り返りました。

晩年、門田博光さんは糖尿病などで体調を崩しており、一度人工透析を受けるなどの療養生活を続けていましたが、2023年1月24日、74歳でこの世を去られました。

門田博光さんのご冥福をお祈りいたします。